育休復帰後の手続で社会保険料が下がる?

手続き

育児休業から復帰した後、従業員本人が希望した場合に行う手続が2つあります。
2つの手続のうち、「育児休業等終了時報酬月額変更」をすれば毎月の社会保険料が下がります。
どのような手続なのか、どのような条件を満たすと手続ができるのか、手続をするメリット・デメリットなどをまとめました。

社会保険料はどうやって決まる?

毎月の給与から控除される社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料)がどのように決まるかご存知でしょうか?
社会保険料は「従業員の給与」で決まります。従業員の毎月の給与から「標準報酬月額」を算出し、その標準報酬月額にそれぞれの保険料率を乗じると保険料が計算できます。
保険料は事業主と従業員が折半するので、下記表の折半額が実際に控除される社会保険料となります。
また、介護保険第2号被保険者(40歳~64歳)は介護保険料の負担もあります。下記表の「介護保険第2号被保険者に該当する場合」が、40~64歳の健康保険料と介護保険料を合わせた保険料となります。

全国健康保険協会「令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(埼玉県)」

育児休業から復帰したときの月額変更とは

社会保険料が決定される時期や方法は4つあります。

  1. 資格取得時決定
    従業員が入社した時、短時間の勤務で社会保険の被保険者ではなかった従業員の働き方が変わり新たに被保険者となる時に、1ヵ月の見込み報酬から「標準報酬月額」を算出します。
  2. 定時決定
    毎年4月から6月に支払った給与の平均から「標準報酬月額」を算出します。
  3. 随時改定
    昇給や降格などによって給与が大幅に変動した場合、定時決定を待たずに標準報酬月額を改定します。
  4. 育児休業等終了時改定
    育児休業から復帰したあと3ヵ月の給与が下がる場合に、標準報酬月額の改定を行うことができます。

4つ目の「育児休業等終了時月額変更」の手続条件を満たし、手続を行うことで社会保険料が下がります。

育児休業終了時に報酬月額変更をする条件

この手続は下記の条件を満たさなければ、行うことはできません。

  • これまでの標準報酬月額と改定後の標準報酬月額(※1)との間に1等級以上の差が生じること。
  • 育児休業終了日の翌日が属する月以後3カ月のうち、少なくとも1カ月における支払基礎日数(※2)が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上であること。

(※1)改定後の標準報酬月額…育児休業終了日の翌日が属する月以後3カ月分の報酬の平均額に基づき算出します。ただし、支払基礎日数が17日未満の月は除きます。
(※2)支払基礎日数…日給制や時給制の場合は出勤日数(給与が支給される有給休暇を含む)。月給制の場合は暦の日数。但し、欠勤で給与が控除されている時は、暦の日数(就業規則や賃金規程で欠勤控除のルールが決められている時はその定めている日数)から欠勤日数を控除した日数。

(例)埼玉県の全国健康保険協会被保険者
   これまでの標準報酬月額…32万
   育児休業終了日11月15日、復帰日11月16日
   給与は月末締め、翌月20日払い
   フルタイム正社員(月給制)

11月20日支給12月20日支給1月20日支給
給与0万円17万円29万円
支払基礎日数0日15日31日

上記ケースだと、支払基礎日数17日以上の月は1月20日支給のみなので、報酬の平均額は29万円となり、改定後の標準報酬月額は28万です。等級はこれまでの標準報酬月額から1等級下がります。
条件を満たしているので、手続をすることで社会保険料は下がります。

随時改定は「2等級以上の変動」「固定的賃金の変動がある」「支払基礎日数は3ヵ月とも17日以上」でなければ手続の条件を満たしませんが、育児休業等終了時改定は「1等級以上の変動があり」「固定的賃金の変動がなくとも」「支払基礎日数は1ヵ月でも17日以上であれば」条件を満たします。
その為、随時改定より該当しやすくなります。
育児休業明けには条件を満たすかどうかのチェックを忘れずに行ってください。

手続をするメリット・デメリット

随時改定と違い、育児休業等終了時改定は条件を満たしたとしても、手続は任意となっています。これは、手続によるデメリットもあるからです。

毎月の給与から控除される社会保険料が下がる。

傷病手当金や出産手当金といった標準報酬月額をもとに給付額が決定されるものは給付額が低くなる

条件を満たしていたら、まずは対象従業員にメリット・デメリットを説明した上で手続をするかの意思確認をしてください。
ちなみに、将来受け取る年金額については、養育期間標準報酬月額特例申出」を行うことで、休業前の標準報酬月額で計算されることになります。

手続自体は覚えれば簡単に行うことができます。しかし、その手続を行うかどうかの判断は法改正に伴うルール変更もありますし、細かい判断が必要になります。
自社での手続が負担であり、アウトソーシングを検討される際には「りか社労士事務所」へお問い合わせください。