初めて従業員を雇うときに必要なこと~社会保険~

手続き

事業を始められて、初めて従業員を雇うことになったとき、何をしなければいけないのか?
まずは社会保険の手続きについて、解説をします。

そもそも社会保険とは?

社会保険とは、広い意味での社会保険と狭い意味での社会保険、2つの捉え方があります。
下の図をご覧ください。

狭い意味での社会保険とは「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」の3つです。
一般的に「社会保険」というと、この3つのことを指します。

広い意味での社会保険とは、上記に加えて、「労災保険」「雇用保険」「国民年金」「国民健康保険」も含めます。ちなみに、「労災保険」と「雇用保険」をまとめて「労働保険」と言います。

社会保険には必ず加入しなければいけないのか?

社会保険への加入は、強制適用任意適用があります。
強制適用事業所に該当する事業所は、事業主や従業員の意思に関わらず社会保険へ加入しなければなりません。
一方、任意適用は強制適用の要件には該当しないが、事業所で働く半数以上の人が適用事業所となることに同意し、事業主が申請して認可を受けることです。認可を受けると適用事業所となるので、働いている従業員は本人の意思に関係なく社会保険に加入することになります(社会保険の資格取得要件を満たしていない従業員は除く)。

強制適用事業所とは

  1. 株式会社などの法人の事業所(事業主のみの場合を含む)
  2. 従業員が常時5人以上いる個人の事業所

2の「従業員が常時5人以上いる個人の事業所」は農業・林業・漁業・宿泊業・飲食サービス業などは除きます。
つまり、飲食サービス業で従業員が常時5人以上の個人事業所は、強制適用とはなりません。
但し、個人事業所ではなく法人であれば飲食サービス業も強制適用となります。

2022年10月から、これまで除外であった士業も「従業員が常時5人以上いる個人の事業所」であれば強制適用となりました。適用対象となる士業は「弁護士・沖縄弁護士・外国法事務弁護士・公認会計士・公証人・司法書士・土地家屋調査士・行政書士・海事代理士・税理士・社会保険労務士・弁理士」です。
詳しくは「厚生労働省から法律改正のお知らせ 法律・会計に係る業務を行う士業のみなさまへ」をご確認ください。

社会保険の新規適用

強制適用事業所に該当する場合は、要件を満たして該当してから5日以内に「新規適用」の手続きを行わなければいけません。
この手続きを行わず、社会保険未加入となっている場合には、日本年金機構(年金事務所)が事業所へ加入指導や立入検査を行います。立入検査を正当な理由なく拒むと、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処することとされています。

新規適用に必要な書類

  1. 健康保険・厚生年金保険 新規適用届
  2. 法人登記簿謄本(90日以内に交付された原本)
  3. 法人番号指定通知書(コピー)
  4. 【強制適用となる個人事業所の場合】事業主の世帯全員の住民票(90日以内に交付された原本)
  5. 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届
  6. 健康保険 被扶養者(異動)届
  7. 健康保険・厚生年金保険 保険料口座振替納付申出書
     健康保険料・厚生年金保険料を口座振替によって納付するときに必要

【提出時期】加入要件を満たしてから5日以内
【提出先】事業所の所在地を管轄する年金事務所
【提出方法】電子申請、郵送、窓口持参

社会保険の加入により、従業員が私傷病による休職をした時は傷病手当金、出産した時には出産手当金を受給できるメリットがあります。
逆に未加入であり、日本年金機構(年金事務所)の加入指導後も加入せず、立入検査で指摘を受けた場合は2年間の遡及加入、つまり2年間の社会保険料を支払わなければならないリスクがあります。
強制適用事業所に該当したら、速やかに「新規適用」手続きをされることを強くお勧めします。

社会保険の新規適用手続きは、りか社労士事務所でお手伝いできます。まずはご相談ください。