雇用保険料率の変更~2022年10月から従業員負担分も変わります~

法改正

2022年10月から従業員が負担する雇用保険料が変更になっています。

雇用保険とは

雇用保険とは、労働者が失業した場合などに必要な給付を行い、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに再就職の援助を行うことなどを目的とした雇用に関する総合的な機能をもった制度です。
代表的な給付として、失業した際の基本手当(失業給付)や育児休業中の育児休業給付金があります。

「初めて従業員を雇うときに必要なこと~労災保険・雇用保険~」もご参照ください。

雇用保険の加入対象となる従業員要件は以下の通りです。

【雇用保険被保険者の要件】
常用・パート・アルバイト・派遣等、名称や雇用形態にかかわらず、原則、下記2点を満たす労働者は被保険者となります。
①週の所定労働時間が20時間以上である
②31日以上引き続き雇用されることが見込まれる

雇用保険料率

コロナ禍の対応として、雇用調整助成金の特例措置が設けられ、雇用を守るために多くの企業が雇用調整助成金を活用しています。結果、雇用保険料を上げざるを得ない状況となりました。
2022年4月からは事業主負担分、10月からは従業員負担分も雇用保険料率が上がっています。

出典:厚生労働省「令和4年度雇用保険料率のご案内」

いつ支払う給与から変更すればいいのか?

従業員が負担する雇用保険料の料率変更はいつから行えばいいのか?
それは、給与の締め日基準で判断することになります。

  • 末締め、翌月20日払いの場合
     締日:9/30,支払日:10/20⇒9月までの旧料率で計算
     締日:10/31,支払日:11/20⇒10月からの新料率で計算
  • 10日締め、当月25日払いの場合
     締日:10/10,支払日:10/25⇒10月からの新料率で計算

雇用保険料の計算に含む賃金

賃金とするもの賃金としないもの
基本給、残業手当、深夜手当、休日手当、
通勤手当、家族手当、役職手当、住宅手当、
単身赴任手当、在宅勤務手当、休業手当など
結婚祝金、死亡弔慰金、災害見舞金、
出張旅費・宿泊費(実費弁償的なもの)、
解雇予告手当など

通勤手当や休業手当も雇用保険料の計算対象となる賃金です。

(例)一般の事業、従業員の賃金が20万円の場合
①2022年9月まで
 【事業主負担分】20万円×6.5/1,000=1,300円
 【従業員負担分】20万円×3/1,000=600円
②2022年10月から
 【事業主負担分】20万円×8.5/1,000=1,700円
 【従業員負担分】20万円×5/1,000=1,000円

65歳以上の被保険者

2017年1月から65歳以上の高年齢者も雇用保険加入要件を満たしていれば、雇用保険に加入しなければなりません。65歳以上で加入要件を満たしているにも関わらず、雇用保険未加入となっているケースが稀にあります。高年齢者の雇用保険加入手続きに漏れがないか、1度ご確認ください。

また、2017年1月から2022年3月までは雇用保険料免除であった高年齢労働者も、2020年4月1日からは保険料の納付が必要となっています。もし、高年齢者の雇用保険被保険者で雇用保険料を控除していない従業員がいれば、従業員負担分を会社が負担している状態になっているので、対象従業員に説明の上、取り急ぎご対応ください。

従業員に支払う給与に関わる「雇用保険料率の変更」です。古い料率のまま計算し続けると、会社の負担を増やすことになります。料率の変更を忘れないようにご注意ください。

毎月の給与計算がご負担になっていませんか?埼玉県のりか社労士事務所では給与計算の代行も対応可能です。是非1度、ご相談ください。