従業員が育休を取るときに活用できる助成金④

助成金

従業員が育児休業を取得する予定があるなら、「両立支援等助成金」の活用をご検討ください。
両立支援等助成金で活用できるコースは2つあります。

  1. 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)
  2. 育児休業等支援コース
    ※どちらのコースも中小企業事業主のみ対象です。

今回は、「育児休業等支援コース」の解説をしていきます。出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)についての記事はこちらです。

育児休業等支援コース「業務代替支援」

厚生労働省リーフレット「2022年度両立支援等助成金のご案内」
※ 支給額 < >内は、生産性要件を満たした場合の支給額。

この「業務代替支援」は2021年度までは「代替要員確保時」という名称でした。2022年度より名称も内容も変わっています。
大きな変更点は、2021年度にあった「職場復帰時」における「職場支援加算」が、「業務代替支援」の「手当支給等」に置き換わっている点です。

「業務代替支援」では、育児休業を取る従業員の業務を代替するための労働者を確保し、かつ育児休業を取得した従業員を原職等に復帰させた中小企業事業主に支給されます。
新しく労働者を確保した場合は「A 新規雇用」、社内の従業員で業務を代替する場合は「B 手当支給等」を申請します。育児休業を取得する従業員が有期雇用の場合には、有期雇用労働者加算9.5万円がつきます。

この「業務代替支援」は1事業主あたり、5年間でA・B合わせて1年度10人まで申請可能です。

おもな要件

育児休業を取った従業員を、育児休業終了後に、原職等に復帰させる旨を就業規則に規定すること

育児休業を取る従業員が3ヵ月以上の育児休業を取ること

産後休業から、そのまま育児休業に入る場合は、産後休業も上記期間に含められます。

「A 新規雇用」は育児休業期間中の業務を代替する従業員を新たに雇用すること

新たに雇用した従業員は、育児休業を取得する従業員が会社に妊娠の報告をした日以降に確保した従業員でなければいけません。
また、派遣により業務代替者を確保した場合も対象となります。
育児休業を取得する従業員の業務を代替する者であることを示すため、勤務場所・手当・労働時間等で満たさなければいけない条件がいくつかあります。

「B 手当支給等」は育児休業期間中の業務を見直して、社内の従業員で業務をカバーさせること

業務の見直し・効率化を検討して、「両立支援等助成金(育児休業等支援コース(業務代替支援/手当支給等))実施結果書」に検討結果を記載します。
「業務の一部休止・廃止」「手順・工程の見直し等による効率化、業務量の減少」「マニュアル等の作成による業務、作業手順の標準化」のいずれか1つ以上の検討結果が必要です。

また、業務を代替する従業員に支給する賃金制度を就業規則に規定し、休業期間中は1ヵ月に1万円以上の手当を支給します。

育児休業を取得した従業員を原職等に復帰させて、雇用保険被保険者として6か月以上継続して雇用していること

【原職等に復帰したと認められないケース】
・会社の都合で、育児休業前に勤務していた支店とは別の支店で復帰させた
・育児休業前には「主任手当」や「管理職手当」が支給されていたが、復帰後にはこれらの手当が支給されていない
・月給制だった従業員を時給制に契約変更をして復帰させた

助成金の活用

ご紹介した助成金を活用することで、育児休業中を取得する従業員は安心して休業でき、会社は助成金を原資として業務を代替する者に給与や手当を支給することができます。
また、育児休業を取得する従業員がいることを契機として、社内の業務を見直すこともできます。多くの会社で、慣例として行っているが廃止しても支障が出ない業務があるでしょう。

社内で初めての育児休業取得者が出るとき
育児休業取得した従業員に対して良くない思いを持つ従業員が多いとき

助成金の活用を検討してみてください。
上記にあげた要件はあくまで主な要件であり、申請までに押さえるべきポイントや細かな注意点があります。
会社で行うと時間も手間もかかる助成金の申請はりか社労士事務所にお任せください。