2022年12月より各種助成金が拡充されています①

助成金

各種助成金が2022年12月より拡充されています。助成金の活用を検討されている事業所の方は変更点をご確認ください。

キャリアアップ助成金の拡充

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者のキャリアアップ促進のため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成される制度です。労働者の意欲や能力向上、優秀な人材の確保や定着のためにご活用ください。

正社員化コース

有期雇用労働者等を正規雇用労働者に転換等した場合に助成されるコースですが、加算額が拡充されています。

人材開発支援助成金の特定の訓練を修了した後に正社員化すると、助成金額が加算されます。2022年12月2日以降に正社員化した場合は、助成金の金額(1人当たり)が拡充の対象となります。
詳しくは厚生労働省リーフレット:「キャリアアップ助成金」が使いやすくなりました!をご参照ください。

人材開発支援助成金のうち、以下の訓練コースが加算の対象となります。

  • 事業展開等リスキリング支援コース(2022年12月新設)
  • 特別育成訓練コース
  • 人への投資促進コース
  • 特定訓練コース

賃金規定等改定コース

有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を増額改定し、実際に賃金を引き上げた場合に助成されるコースです。

支給要件の見直し(2%以上→3%以上)とともに、5%以上の賃金引上げを行う場合の助成額が大幅に拡充されています。見直しに伴い、「生産性要件」を満たした場合の助成額の増額は廃止となっています。詳しくは厚生労働省リーフレット:「キャリアアップ助成金」が使いやすくなりました!をご参照ください。

また、1事業所あたり1年度1回の申請制限が撤廃されました。1年度1事業所あたり100人までは複数回の申請ができます。

改正後の制度は2022年9月1日以降の賃金規定等の増額改定に適用されます。

2022年9月1日から2023年3月31日までの間に賃金規定等を増額改定した場合は、改正前の制度による申請も可能です。(その場合、申請様式は改正前の様式を使用する必要があります。改正前の制度による申請は1年度1回限りです。)

人材開発支援助成金の拡充

人材開発支援助成金は、事業主が労働者に対して訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等が助成される制度です。従業員の教育訓練にあまり予算を掛けらず、人材育成に苦慮している中小企業に是非活用していただきたいです。

事業展開等リスキリング支援コースの創設

「事業展開等リスキリング支援コース」は、①既存事業にとらわれず、新規事業の立ち上げなどの事業展開に伴う人材育成②業務の効率化、脱炭素化などを目的に、デジタル・グリーン化に対応した人材の育成に取り組む事業主を対象に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を高率助成により支援する制度です。

「事業展開」とは、例えば…

・新商品や新サービスの開発、製造、提供又は販売を開始する
・日本料理店が、フランス料理店を新たに開業する
・繊維業を営む事業主が、医療機器の製造等、医療分野の事業を新たに開始する
・料理教室を経営していたが、オンラインサービスを新たに開始する 等

「デジタル・DX化」とは、例えば…

・ITツールの活用や電子契約システムを導入し、社内のペーパーレス化を進めた
・アプリを開発し、顧客が待ち時間を見えるようにした
・顔認証やQRコード等によるチェックインサービスを導入し手続きを簡略化した 等

「グリーン・カーボンニュートラル化」とは、例えば…

・農薬の散布にトラクターを使用していたが、ドローンを導入した
・風力発電機や太陽光パネルを導入した 等

支給対象訓練

① 助成対象とならない時間を除いた訓練時間数が10時間以上であること
② OFF-JT(企業の事業活動と区別して行われる訓練)であること
③ 職務に関連した訓練であって以下のいずれかに該当する訓練であること

助成率・助成額
厚生労働省リーフレット:人材開発支援助成金に事業展開等リスキリング支援コースを創設しました

人材開発支援助成金(人への投資促進コース)の助成率引き上げ

厚生労働省リーフレット:人材開発支援助成金(人への投資促進コース)の助成率を引き上げるなど制度の改正を行いましたをご参照ください。

助成限度額の引き上げ

人への投資促進コース(成長分野等人材訓練を除く)の1事業所が1年度(4月1日から翌年3月31日まで)に受給できる助成限度額を、1,500万円から2,500万円に引き上げました。

定額制訓練の助成率の引き上げ及び対象訓練の緩和

【変更点1】
経費助成率が引き上げられました。

【変更点2】
訓練の実施目的が、職務に間接的に必要となるスキルや共通的なスキルを習得させるものである場合は、経費助成の対象となりませんが、これらに該当する場合であっても、企業内においてデジタル・DX化やグリーン・カーボンニュートラル化を進めるために実施する教育訓練である場合は、経費助成の対象となりました。

自発的職業能力開発訓練の助成率及び助成限度額の引き上げ

【変更点1】
経費助成率を、30%から45%(生産性要件を満たした場合はそれぞれの経費助成率に15%を加算)に引き上げられました。

【変更点2】
自発的職業能力開発訓練の1事業所が1年度(4月1日から翌年3月31日まで)に受給できる助成限度額を、200万円から300万円に引き上げられました。

高度デジタル人材訓練の支給対象訓練の追加

支給対象訓練に、国のデジタル人材育成プラットフォーム「マナビDX(デラックス)」(※1)に掲載されている講座のうち、講座レベルがITSS(※2)レベル4相当又は3相当に区分される講座を支給対象訓練に位置付けられました。

注意点

各助成限度額の引き上げや経費助成率の引き上げについては、2022年12月2日よりも前に訓練実施計画届を提出している場合でも、訓練開始日が12月2日以降である場合は、引き上げ後の助成限度額や経費助成率が適用されます。

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)の拡充

「中途採用等支援助成金」は、中途採用者の雇用管理制度を整備した上で中途採用の拡大を図る事業主に対して助成されるものです。
今回の改正では、45歳以上の賃金を前職より引き上げる中途採用を推進するため、助成対象や助成額の見直しが行われました。

詳しくは、厚生労働省リーフレット:中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)の助成対象・助成額の見直しを行いましたをご参照ください。

助成金は融資と違い、返済不要です。厚生労働省が管轄する助成金は、働く従業員のために何かの取り組みをした際に助成されるものがほとんどです。ただ取り組むだけではなく、申請には日々の労務管理も重要となってきます。
適正な労務管理ができていない企業(労働条件通知書が交付できていない、36協定の届出ができていない等)であれば、「助成金を申請できるような会社になる」という目標に向けて、まずは整えていくという考え方もあります。弊所では顧問社労士として、日々の労務管理の支援や活用できる助成金のご提案も行いますので、1度ご相談ください。

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