改正育児・介護休業法で2022年10月からどう変わるか①

法改正

2022年10月施行の改正育児・介護休業法により、育児休業が大きく変わります。
①産後パパ育休(出生時育児休業)の創設
②育児休業の分割取得
この2点が変更点です。
これに伴い、給付金や社会保険料免除の仕組みも変わります。
1つずつ、整理していきましょう。

産後パパ育休(出生時育児休業)の創設

2022年10月から、新たに産後パパ育休が創設されます。
産後パパ育休と9月30日までの育児休業を比較しましょう。

産後パパ育休
(出生時育児休業)
育児休業
(~2022年9月30日まで)
対象期間子の出生後8週間以内に
最大4週間(28日間)まで取得可能
子が1歳(最長2歳)まで
申出期限2週間前まで1か月前まで
分割取得2回まで分割不可
休業中の就業労使協定を締結している場合に限り、就業可能就業不可

2回に分割して休業することができる

産後パパ育休は、2回に分割して取得ができます。
例えば、お子さんが産まれ、奥さんとお子さんが退院するタイミングで1回。
生後1か月の健診もあり、育児で奥さんの疲れも出ておりリフレッシュが必要であろう生後1か月のタイミングで1回。
このように2回に分割して取得ができます。
2回の休業はまとめての申出が必要ですが、会社が法を上回る措置として、その都度の申出を認めることは可能です。

申出期限は2週間前まで

産後パパ育休の申出期限は原則2週間前までになります。
次の①~③の全ての措置を講じることを労使協定で締結すれば、申出期限を最長1か月とすることができます。

①以下のうち、2つ以上の措置を講じること(内容についてはこちらをご参照ください
 ・育児休業に関する研修の実施
 ・育児休業に関する相談体制の整備(相談窓口設置)
 ・自社の労働者の育児休業取得事例の収集、提供
 ・自社の労働者へ育児休業制度と育児休業取得促進に関する方針の周知
 ・育児休業申出をした労働者の育児休業の取得が円滑に行われるようにするための業務の配分または人員の配置に係る必要な措置

②育児休業の取得に関する定量的な目標を設定し、育児休業の取得の促進に関する方針を周知すること

③育児休業申出に係る当該労働者の意向を確認するための措置を講じた上で、その意向を把握するための取組を行うこと。

厚生労働省による労使協定の例をご紹介します。

(出生時育児休業の申出期限)
第9条 事業所長(三を除く。)は、出生時育児休業の申出が円滑に行われるよう、次の措置を講じることとする。その場合、事業所長は、出生時育児休業の申出期限を出生時育児休業を開始する日の1か月前までとすることができるものとする。
一 全従業員に対し、年1回以上、育児休業制度(出生時育児休業含む。以下同じ。)の意義や制度の内容、申請方法等に関する研修を実施すること。
二 育児休業に関する相談窓口を各事業所の人事担当部署に設置し、事業所内の従業員に周知すること。
三 育児休業について、○○株式会社として、毎年度「男性労働者の取得率○%以上 取得期間平均○か月以上」「女性労働者の取得率○%以上」を達成することを目標とし、この目標及び育児休業の取得の促進に関する方針を社長から従業員に定期的に周知すること。また、男性労働者の取得率や期間の目標については、達成状況を踏まえて必要な際には上方修正を行うことについて労使間で協議を行うこと。
四 育児休業申出に係る労働者の意向について、各事業所の人事担当部署から、当該労働者に書面を交付し回答を求めることで確認する措置を講じた上で、労働者から回答がない場合には、再度当該労働者の意向確認を実施し、当該労働者の意向の把握を行うこと。

休業中の就業が可能になる

労使協定で休業中の就業を認める労働者の範囲を定め、締結することで産後パパ育休中の就業が可能になります。
この休業中の就業ですが、あくまで産後パパ育休に限ったものです。
通常の育児休業では、10月施行以降も育児休業中の就業は原則不可となっています。

就業は労働者の希望があることが前提

会社から従業員に対して、産後パパ育休中の就業を促すことはできません。
従業員から就業の希望があった場合に、従業員の希望する範囲(日にち・時間)で会社が就業日等を提示し、従業員がそれに同意することで就業が可能になります。

就業可能な日数や時間数には上限がある

就業させることができる日数や時間の上限があります。

①休業中の所定労働日数の半分まで
②休業中の所定労働時間合計の半分まで
③休業の開始日と終了日は、その日の所定労働時間未満まで

(例)産後パパ育休10/1~10/20、1日の所定労働時間8時間、休業中の所定労働日数14日間
   就業日数の上限:7日間
   就業時間の上限:56時間
   休業開始・終了日の就業は8時間未満

また、就業できるのは、対象従業員の所定労働時間内の時間帯に限ります。
例えば、9時~18時と始業・終業時刻が決まっている従業員が産後パパ育休中に21時~23時で就業することはできません。

10月施行でスタートする「産後パパ育休」はこの他にも実務上の注意点が多くあります。
産後パパ育休や改正育児・介護休業法については、りか社労士事務所までご相談ください。