そのお休みの変更、振替休日?代休?

就業規則

毎週土曜日・日曜日の週2日休みの従業員に、土曜日に働かせて、その代わりに別の日を休みにする。
こういったことはよくあるかと思います。
そのお休みの変更は、振替休日ですか?代休ですか?
「そんなのどっちだって問題ないよ」と思われるかもしれませんが、振替休日なのか代休なのかによって、賃金の計算方法も異なります。
誤った運用や解釈をしていると、知らないうちに労働基準法違反になる可能性があるので、注意が必要です。

振替休日と代休の違い

振替休日事前の振替予め休日と定められていた日を労働日とし、そのかわりに他の労働日を休日とすること
代休事後の振替休日労働が行われたあとに、その代償として以後の特定の労働日を休みとするもの
厚生労働省:振替休日と代休の違いは何か。|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

「9月10日の休みを労働日にして、そのかわりに労働日である9月13日を休日とすることを事前に決めている」のが振替休日
「9月10日の休みに休日出勤をした。休日出勤後、9月13日の労働日を休みとすることに決めた」のが代休

振替休日は休みと労働日を事前に入れ替えるので、休日出勤とはなりません。
代休は休日出勤という事実は残ります。

厚生労働省:p20140806-01_08.pdf (mhlw.go.jp)

賃金の計算でどういう違いが出てくるか?

振替休日は休日と労働日を入れ替えるだけなので、割増賃金となる「休日手当」は発生しません。
一方、代休は休日出勤となるので、法定休日に出勤した場合は割増率35%以上の「休日手当」を支払う必要があります。

(例)時給1,000円、法定休日に8時間労働
   振替休日…1,000円×8時間=8,000円
   代休…1,000円×1.35×8時間=10,800円

計算すると、このような違いが出てきます。

週をまたいだ振替休日には要注意

振替休日は「休日出勤」ではないので、休日手当は発生しません。
しかし、週をまたいだ振替休日であれば、時間外手当が発生する可能性があります。

東京労働局パンフレット「000501860.pdf (mhlw.go.jp)

下記のケースでは、時間外手当が発生します。
週をまたいだ振替休日により、1週目の労働時間が48時間となり、週40時間を超えています。
その為、8時間分の時間外手当(割増率25%以上)の支払が必要になります。

週の労働時間
法定休日8時間勤務8時間勤務8時間勤務8時間勤務8時間勤務所定休日
⇒8時間勤務
48時間
法定休日8時間勤務8時間勤務労働日
⇒所定休日
8時間勤務8時間勤務所定休日32時間

消化できず、累積している代休にも要注意

「代休が溜まっている従業員がいる」という話を聞くことがあります。
ここには、未払い賃金請求のリスクが潜んでいます。
もし、20日分の未消化代休が溜まっており、その従業員の1日当たりの賃金が10,000円であれば
200,000円の未払い賃金とみなされるリスクがあります。

法定休日に休日出勤をさせ、後で代休を取得させることを前提に、休日手当の35%分だけを支払う。
しかし、同じ月で代休を取得できず、翌月、翌々月にも取得できない状況が続いた場合、所定労働時間分の賃金(100%部分)が未払い賃金となります。

代休は必ず与えなければいけないものではありません。
代休を同月内で取得できないのであれば、100%部分を含む135%を支払い、未払い賃金が発生しないようにすることをお勧めします。

ちなみに、代休を取得させたことで、所定労働時間分の賃金(100%部分)を支払う必要がなくなるようにするためには、就業規則の代休規定で明文化しておかなければなりません。
また、代休は労働基準法上で義務付けられているものではなく、会社の恩恵的制度のため必ずしも取得させる義務はありません。代休を取得させない場合は、未払い賃金が発生しないように、所定労働時間分の賃金に加えて割増賃金を支払うことで足ります。
1度、会社の就業規則の規定と実際の運用に相違がないかを含めてチェックをしてみてください。

振替休日や代休についてのご相談や就業規則の改定、給与計算代行のご依頼はりか社労士事務所まで。

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