育児休業制度の中にある「パパ・ママ育休プラス」をご存知でしょうか?
この「パパ・ママ育休プラス」は育児休業制度の特例です。そして、認知度も利用者数も低いです。令和3年度雇用均等基本調査によると、利用者はわずか2.3%程です。
パパ・ママ育休プラスとは
育児休業をすることができるのは原則、子供が1歳に達する日(1歳の誕生日前日)までの間で、労働者が申出した期間です。
1歳以降は、保育園に入所できなかった場合等、休業が必要な理由のある場合に限り育児休業を延長することができます。
パパ・ママ育休プラスは育児休業制度の特例です。
両親がともに育児休業をする場合に、原則1歳までの育児休業が、1歳2ヵ月前日までに延長されるのがパパ・ママ育休プラスです。「保育園に入所できなかった」等の理由がなくても、1歳2ヵ月まで育児休業をすることができます。
パパ・ママ育休プラスの要件
パパ・ママ育休プラスの要件は以下の3つです。全てに該当しなければ、この特例は適用されません。
- 育児休業を取得する本人の配偶者が、子供の1歳の誕生日前日以前に育児休業(産後パパ育休を含む)をしていること
- 本人の育児休業開始予定日が、子供の1歳の誕生日以前であること
- 本人の育児休業開始予定日が、配偶者がしている育児休業(産後パパ育休含む)の初日以降であること
上記3つの要件を全て満たし、原則1歳までの育児休業が、1歳2ヵ月前日までに延長された場合でも育児休業を取得できる期間(産後パパ育休・産後休業を含む)は1年間です。
つまり、出産した女性が産後休業からそのまま育児休業をしたら、パパ・ママ育休プラスの要件を満たしたとしても、1歳の前日までしか育児休業をすることができません。
この要件ですが、文章では理解しづらいです。この難しさが利用率の低さにも繋がっているのかもしれませんね。
パパ・ママ育休プラスの具体例
父親がパパ・ママ育休プラスの要件を満たす一例になります。両親の育児休業期間は重複することも可能ですし、父親が1歳到達日である10月10日から育児休業を開始することもできます。
しかし、父親の育児休業の開始日が1歳誕生日の翌日10月11日となると、要件②を満たさない為、パパ・ママ育休プラスの対象となりません。
パパ・ママ育休プラスの活用例
例えば上記の例ですと、4月保育園入園前に父親が育児休業を開始し、入園後の慣らし保育や子供の体調不良による急なお迎えに対応することが可能です。母親も復帰直後に年次有給休暇を消化することなく、仕事に専念できます。
夫婦でパパ・ママ育休プラスをうまく活用できれば、お互いの仕事への影響を最小限にし、子供と過ごす貴重な時間を夫婦で共有することも可能です。
恐らく、「パパ・ママ育休プラス」を知らないが為に、利用できていないケースもあると思います。人事総務担当者の方が「パパ・ママ育休プラス」を理解していることがベストではありますが、多くの業務を抱えている中、このような細かい要件を理解するための時間を取るのは難しいでしょう。
2022年4月からは従業員本人または配偶者が妊娠・出産した場合、育児休業制度の周知や取得意向確認が義務となっています。育児休業制度に関するご質問があれば、りか社労士事務所までご相談ください。
顧問契約なしでご利用できる「産休・育休お任せプラン」もございます。