政府は「2025年度までに男性育休取得率30%」の目標を掲げています。
2021年度の男性育休取得率は13.97%。
9年連続で上昇し、過去最高とはなりましたが、政府目標にはまだ遠いです。
なぜ、男性育休取得率を上げることが重要なのか?
産後1年以内の妊産婦の死亡原因第1位が自殺という調査結果が出ています。
また、産後うつは約10%の方が罹患すると考えられており、産後うつにより子供の命を奪ってしまう悲しいニュースも報道されています。
最悪の場合、母親と子、2人の命が失われます。
男性の育休は大切な家族の命を守るためにあります。
本当に「休ませることができない」のかを考える必要性
「男性が育休を取るなんて」「休ませられる日がない」
本当に休ませることができないのでしょうか?
女性の育児休業取得率(2021年度)は85.1%です。85%の女性従業員が育休を取得できて、男性従業員が育休を取得できない原因はどこにあるのでしょうか。
- 仕事が属人化している⇒●●さんじゃなきゃ出来ない仕事がある
- 長時間労働が常態化していて、1人休むと業務が回らなくなる
このような原因であるのなら、会社としてこのままで良いのでしょうか。
育休ではなく、その男性従業員が急に病気になって休職しなければならなくなったら?
親の介護で離職せざるを得なくなったら?
このようなリスクは常にあります。
それに比べて、男性育休は突発的ではありません。事前に申出をして、取得予定期間が決まります。
男性育休を契機に、属人化している業務を他の従業員でも対応できるようにしたり、時間外労働の削減のため無駄な業務がないか改めて見直すことができたり、危機に強い組織作りに取り組むことができます。
男性育休に取り組むことで企業に生まれる効果
下図は、男性の育児休業取得による職場への影響のアンケート結果です。男性の育児休業取得のいる(いた)職場では、さまざまな変化が起きています!
特に、男性の育児休業取得を歓迎した職場では変化を実感する割合が増加していることから、積極的に男性育休取得に取り組むことでより大きく好影響があることが分かります。
- 男性の育児参加への理解が深まり、職場の雰囲気が変わる!
- 仕事の進め方を見直すきっかけに
⇒業務引継ぎの際に、業務の棚卸し・見える化を行うことで、「本当に必要な業務」がわかる
⇒業務マニュアルの作成等により、業務の属人化も排除。仕事の効率性が向上 - 各人が「残業しない」との意識で業務を行うことで、業務効率が向上、長時間労働の抑制も!
- 会社に対する満足度・帰属意識の向上
⇒加えて、会社の取組を公表・アピールすることで、企業イメージの向上や人材確保にも寄与 - 従業員も経営者も納得した働き方改革は、人材不足解消に効果大
⇒従業員の多様な事情に配慮した制度の導入、取組実施により、離職率が低下
⇒従業員の定着率向上で知識・ノウハウが蓄積すれば、業務効率も向上!
厚生労働省イクメンプロジェクト「男性の育児休業取得促進 研修資料」より
人材確保に高い効果があった事例
厚労省のイクメンプロジェクト主催「男性の育児休業取得促進シンポジウム2022」で登壇されていた新潟県長岡市の「サカタ製作所」代表取締役社長である坂田匠氏のお言葉が非常に印象的でした。
「当社では男性育休は過去のこと。今は次の段階に行かせてもらっています。」
「男性育休促進は企業力UPのチャンス。しかも早くやったもの勝ち。」
「サカタ製作所」では2015年から本格的に働き方改革に取り組み、2018年には男性育休取得率100%を達成されています。
「だれが休んでも回る職場づくり」を実現し、求人にほとんど費用をかけることなく新卒・中途採用どちらでも優秀な人材を獲得されているそうです。
Youtubeで「男性の育児休業取得促進シンポジウム2022」を視聴できます。
サカタ製作所の取り組みを坂田社長ご自身が紹介されているので、是非ご覧ください。
男性育休取得促進で活用できる助成金
男性育休取得促進に取り組む中小企業が活用できる助成金もあります。【2022年10月現在】
- 両立支援等助成金(出生時両立支援コース)
1人目の男性育休取得:20万円、男性育休取得率30%以上上昇:20万円~60万円 - くるみん助成金
くるみん認定を受けた中小企業:上限50万円 - 男性の育休取得促進など働き方改革を進める企業への奨励金(埼玉県)
男性育休取得と社内研修実施:20万円
国や自治体の助成金を活用しながら、男性育休取得促進に取り組みましょう。
埼玉県では男性育児休業等推進宣言企業の募集があります。宣言企業には宣言企業ステッカー等が提供され、社内外で男性育休の推進をPRすることができます。また、宣言企業は宣言企業一覧ページで企業・団体名、所在地、宣言内容が公表されるそうです。
「男性育休取得促進は早くやったもの勝ち」
男性育休が当たり前になってから取り組んだのでは、高い効果が得られなくなります。
「取り組む必要性やメリットは分かった。でも、何からやったらいいのか?」と最初の一歩が踏み出せない場合はりか社労士事務所にご相談ください。
定型の支援ではなく、企業ごとに現状をヒアリング、課題を分析し、必要な取り組みを考え、実行するパートナーとして伴走させてもらいます。